新入社員研修で、ビジネスメールの書き方をお伝えしていたときのことです。
「ビジネスメールって、AIに書いてもらって問題ないですか?」
受講者から、このような質問がありました。
中には、「学生時代からAIを使っていたので、自分で文章を考えるのが難しい」という受講者もいらっしゃいました。
帝国データバンクが2026年3月に実施した調査によると、生成AIを業務で活用している企業は34.5%だそうです。
そして、その主な用途として最も多かったのは、「文章の作成・要約・校正」(45.1%)とのことです。
このように、ビジネスシーンでも、AIを使って文章を作ることは、特別なことではなくなりつつありますが、
本当にメールの文章作成から確認まで、すべてAIに任せきりにしてよいのでしょうか。
相手のことを一番知っているのは、自分自身
ビジネスメールでは、同じ内容を伝える場合でも、送信する相手によって言葉選びや敬語の程度をはじめとした文章表現が変わります。
初めて連絡する取引先なのか、長年のお付き合いがある気心が知れた担当者なのか、
相手から届いたメールが、かしこまった文章なのか、少しカジュアルな文章なのか、
相手との関係性や、これまでのやり取りによって、ふさわしい言葉遣いや文章の温度感は異なります。
しかし、AIは、私たちがが伝えなければ、当然このような背景を知りません。
送信相手のことを誰よりも一番知っているのは、メールを送る私たちなのです。
AIが作った文章は、正しいとは限らない
もう一つ、気をつけたいのが敬語です。
AIが作成した文章には、不自然な敬語や二重敬語が含まれていることもまだまだあります。
一見、丁寧に見える文章でも、敬語の使い方が適切とは限りません。
そのため、AIが作った文章をそのまま送るのではなく、言葉遣いを自分自身でしっかり確認することが大切です。
メールで伝えたいのは、情報だけではない
ビジネスメールの目的は、整った文章を書くことだけではありません。
必要な情報を正確に伝え、仕事を円滑に進めることはもちろん、
言葉遣いや文章をとおして、相手への敬意や心配りを表現し、信頼関係を築くことも大切な目的です。
どれだけ便利なツールが増えても、相手を思い、言葉を選ぶことの大切さは変わらないのではないでしょうか。
ビジネスメールは、AIに任せてもいい?
研修でこの質問を受けたとき、私は次のようにお伝えしています。
「まずは、自社の生成AI利用に関するルールを確認しましょう。利用が認められている場合は、文章作成に活用するのもよいと思います。ただし、AIが作った文章をそのまま送るのではなく、必ず自分で確認ししましょう」、
そして、
「AIは文章を作ってくれるかもしれませんが、そのメールを送信したことによる取引先との関係に責任を持ってくれるわけではありません。」ということもお伝えしています。
最終的に判断し、送信するのは私たち自身、責任者は自分だということを忘れずにいたいものです。